第16回 FIFAワールドカップ フランス大会

第16回 FIFAワールドカップ フランス大会

第16回大会は2大会連続で予選敗退と涙を飲んだフランスで開催されることとなった。

この大会において、チケットが横流しされる等の事から行き渡らないいわゆるチケット問題が発生。スタンドは満員の観客で埋まらない事態が発生することとなった。

この大会から出場国が24から32に増えることとなり、グループリーグは各グループの上位2ヶ国が進出という新しいルールとなった。これによりアフリカ、アジアの新進諸国の枠を拡大する方向となった。

新しいルールとなって敗退という憂き目にあったのはモロッコと、当時世界ランキング2位のスペインである。

モロッコはブラジルと同席したグループで2節を終わって勝ち点4を獲得。ノルウェーがブラジルに負けない限り決勝トーナメント進出という状況の中、ブラジルはベベットのゴールで先制しながらも2点を献上して破れたため、モロッコの決勝トーナメント進出は絶たれる事となった。

スペインは初戦のナイジェリア戦でサンディ・オリセーの強烈なシュートの前に逆転負け、続くパラグアイとも引き分け、最終節ブルガリアとの試合に勝って、パラグアイの結果待ちというところ、パラグアイがナイジェリアに勝利したため、スペインが取った6点は水の泡となりスペインは遭えなくグループリーグ敗退ということとなった。

2大会連続でPK戦の敗退に泣いたイタリアは、アレッサンドロ・デルピエロに新しいエースとしての活躍を期待された。しかし彼は不調で第1戦、チリ戦において敗戦から救ったのはロベルト・バッジョ。続く3試合もクリスチャン・ヴィエリの活躍の陰に隠れる形となり、フランスとの準々決勝でもロベルト・バッジョと交替する形で終わった。PK戦となった決着は前回の悲劇の主役となったロベルト・バッジョは決めたものの、イタリアの5人目、ルイジ・ディ・ビアッジョのシュートはバーに嫌われ、イタリアは3大会連続でPKで姿を消した。

2大会前にPK戦により敗退したイングランドはグレン・ホドル監督の下、変則的なシステムでイングランドスタイルを放棄した形で戦いに挑んだ。第2戦ルーマニア戦に敗れるとメンバーに若手を起用して刷新。ディヴィッド・ベッカム、ガリー・ネビル、マイケル・オーウェンをスタメンに起用。コロンビア戦ではベッカムの素晴らしいFKで決勝トーナメント進出を決めた。続く決勝トーナメントで因縁のアルゼンチンと対峙。オーウェンの素晴らしいドリブルシュートで勝ち越すも、ハビエル・サネッティの得点で追いついたアルゼンチン。ゲームは後半早々にベッカムがディエゴ・シメオネへの報復行為により退場。しかしながらゲームはPKまで縺れ、デヴィッド・バッティのシュートをカルロス・ロアが止めてアルゼンチンが勝利した。

アルゼンチンに勝利したのはフース・ヒディンク率いるオランダ。同点の場面から後半45分、フランク・デ・ブールからのロングパスにデニス・ベルカンプが素晴らしいトラップから強烈なシュートを決めて勝利。大会中最も美しいゴールの一つに挙げられて遜色ないゴールであった。

内戦でFIFAからの大会除名されていたユーゴスラヴィアが2大会ぶりに復帰。8年前にPKを外したドラガン・ストイコビッチを中心にプレドラグ・ミヤトビッチら優秀なタレントを揃え、初戦イラン相手に勝利を収めると第2戦欧州王者ドイツ相手に互角以上の試合運びを見せ引き分け、最終節、アメリカ戦にも勝利し決勝トーナメント進出。決勝トーナメント、対オランダ戦のロスタイムにエドガー・ダーヴィッツの強烈なシュートで敗れるも素晴らしい印象を残して去った。

また旧ユーゴスラヴィアから分離独立したクロアチアはそれ以上の活躍を納めた。堅守からの速攻を得意としたチームはアレン・ボクシッチを欠きながらも、ジャマイカ、日本相手に連勝を納め決勝トーナメント進出を決めると、ルーマニア戦をダヴォル・シュケルのゴールで勝利を収めると、欧州選手権でも対峙したドイツ相手に3-0の完勝で準決勝進出。準決勝でフランスに敗れ3位決定戦に回るも、3位決定戦でオランダに勝利、エース、シュケルは6得点で得点王を獲得。キャプテン、ズヴォニール・ボバンの12年越しの悲願が達成されたときの彼の涙は非常に感動的なものとなった。

決勝は前回王者ブラジルと開催国フランスの戦いとなった。決して両国とも順当に進出することができなかった。

ブラジルは準々決勝デンマーク戦では開始2分に先制を許し、逆転するもブライアン・ラウドルップにゴール前の混戦から決められてしまう。リバウドのゴールによって突き放すも、後半終了前にゴールマウスを脅かされる場面を作ってしまう。続く準決勝オランダ戦は後半ロスタイムにパトリック・クライファートにヘディングシュートを決められるなど、勝ちきれないチームは暗雲が立ちこめていた。

対するフランスも第2戦で中心選手、ジネディーヌ・ジダンが報復行為によって3試合の出場停止となる。チームはマルセル・デサイー、ローラン・ブランを中心とした堅守によって勝ち進むも、パラグアイ、イタリアと90分で勝てず、準決勝で得点を決めたのもサイドバックのリリアン・テュラムという状態だった。

決勝前夜、ブラジル、ロナウドが全身痙攣を起こし失神する状態となったが強行出場をした。しかしながら精彩を欠いた状態だった。一方のフランスのジダンはコーナキックから2つのヘディングシュートを決めフランスの勝利に引き寄せ、後半終了前にはカウンターからエマニュエル・プティが3点目を決めて勝利を確実なものとし、フランスが初優勝を飾った。

監督のエメ・ジャケは黒人選手を多く起用するなど常にジャーナリズムの批判の的とされたが、結果的にその路線が正しかったことを結果として証明して見せた形となった。